Technical Column技術コラム

電気炉と予熱くんをCO2排出量で比較してみた

2025.04.21

カーボンニュートラルの取り組みできていますか?
エネルギーの効率的な利用とCO2排出量の削減は、現代において重要な課題です。
特に加熱工程では大量のエネルギーを消費する為、加熱方法の工夫によって環境負荷を軽減できます。

当社には加熱装置として電気炉と予熱くんの2つの設備があります。

そこで今回は、電気炉と予熱くんを用いた場合のCO2排出量を比較し、その違いを調べてみました。

当社比較ではありますが、この記事を読むと

  • どちらが目標温度到達まで速いのか?
  • どちらが消費電力量が少ないのか?
  • どちらがCO2排出量が少ないのか?

がわかります。
お時間ない場合、表のみ、さくっと見てください。

CO2排出量の計算方法

この記事では下記計算方法にて算出しました。

消費電力量(kWh)×電気の排出係数(kg-CO₂/kWh)=CO2の排出量(kg)
電気の排出係数=0.360(kg-CO2/kWh)
※関西電力様の令和6年度実績値

実験概要

ワーク(H50mm×D150mm×W280mm)を300℃に加熱するまでの消費電力量を求め、
それを基にCO2排出量を計算します。
材質はSKD61です。

ワーク材料 - コピー.jpg

予熱くんと電気炉をそれぞれ600℃まで上昇させた後
ワークを入れて300℃まで加熱します。
予熱くんにはワークを乗せた後、保温カバーを被せます。

電気炉とワーク.jpg 予熱くんとワーク.jpg

今回検証するのは下記2パターンです。

電気炉
電気炉.jpg

予熱くん
予熱くん2.jpg

サイズ(H×D×W) 1200mm×1100mm×1100mm 20mm×400mm×200mm
消費電力 約15kW 約9kW
備考 200V50A 200V30A

実験結果

ここからの消費電力量(kWh)は実測値です。
電線に電気ロガーを取り付けて計測した実測値になっています。

まずは電気炉からお伝えします。

炉内温度が600℃に到達するまでの時間は1時間55分(115分)でした。
この消費電力量は33.84kWhになります。

CO2排出量の計算は
33.84(kWh)×0.360(kg-CO2/kWh)=12.18kg
となります。

600℃到達後、炉内にワークを入れて測定箇所が300℃に達するまでの時間は22分でした。
この消費電力量は3.69kWhになります。

CO2排出量の計算は
3.69(kWh)×0.360(kg-CO2/kWh)=1.33kg
となります。

電気炉の合計CO2排出量は13.51kgでした。

次に予熱くんの実験結果をお伝えします。

予熱くん本体温度が600℃に到達するまでの時間は11分でした。
この消費電力量は1.81kWhになります。

CO2排出量の計算は
1.81(kWh)×0.360(kg-CO2/kWh)=0.65kg
となります。

予熱くん本体が600℃到達後、
予熱くんにワークを置いて測定箇所が300℃に達するまでの時間は20分でした。
この消費電力量は2.01kWhになります。

CO2排出量の計算は
2.01(kWh)×0.360(kg-CO2/kWh)=0.72kg
となります。

予熱くんの合計CO2排出量は1.37kgでした。

ここまでを一度下記にまとめます。

電気炉 予熱くん
600℃到達までの時間 115分 11分
600℃到達までの消費電力量 33.84kWh 1.81kWh
600℃到達までのCO2排出量 12.18kg 0.65kg
ワーク300℃到達までの時間 22分 20分
ワーク300℃到達までの消費電力量 3.69kWh 2.01kWh
ワーク300℃到達までのCO2排出量 1.33kg 0.72kg
合計CO2排出量 13.51kg 1.37kg

結果と考察

今回の実験では、予熱くんを使用した場合、
13.51kg-1.37kg=12.14kg
上記計算より電気炉と比較してCO2排出量を12.14kg削減できることがわかりました。

先ほどもお伝えしたように消費電力量は実測値を計測しており
CO2排出量も近い数値が出せているかと思います。

特に準備時間と加熱時間を含めた総合的な効率が大きく異なり、
予熱くんのほうが短時間で加熱を完了できる点が特徴です。

まとめ

今回の比較から、電気炉よりも予熱くんを使用する方が、
CO2排出量を抑えつつ加熱時間も短縮できることがわかりました。

いかがでしょうか?

カーボンニュートラルのために何かしないといけない、とは思いつつも
大きな費用はかけられないですよね?

電気炉を使用されているなら一度予熱くんでの加熱デモを推奨します。

予熱くんなら環境負荷の低減と生産効率の向上という一石二鳥を
実現できるかもしれません。

貴社で予熱くんの加熱デモをしてみませんか?

下記よりお問い合わせお待ちしております。

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