Technical Column技術コラム

ステライト1番 、肉盛りできる!?

2025.04.28

ステライト1番の肉盛りは自社でできますか?

ステライト1番は性能が高く素晴らしい材料です。
特に耐熱性と耐摩耗性が優れています。

この性能を活かすことで金型や耐摩耗部品において
トータルコスト低減に肉盛り溶接補強が有効です。

ただ、ステライト1番に限りませんが
性能の高い溶接材料ほど、溶接が難しいことが多いです。

この記事では、
ステライト1番の施工事例をお伝えします。
開先加工から仕上げ加工後まで画像付きです!

使用材料の詳細

材料 SKD61(母材) ステライト1番(盛り材)
概要 一般的な熱間金型用工具鋼。
炭素鋼にクロム・モリブデン・バナジウム等を添加。
コバルトにクロム・タングステン等を多く添加。
特徴 耐熱性、耐摩耗性に優れる。 耐熱性、耐摩耗性、耐食性を両立でき、高温下でも特性が損なわれにくい。
硬度 熱処理後硬度HRC50前後

目安はHRC56前後
※溶接条件で変わる

肉盛りくん(PTA)を用いてステライト1番を肉盛りしました。
※PTAとは粉体プラズマアーク溶接のことです。(Powder Plasma Transferred Arc Welding)

この盛り材は割れやすいので、
適切な温度管理と、プログラム(速度、狙い、角度など)の設定が重要です。

下記の写真のように先端部にステライト1番を肉盛り
先端の熱による消耗が激しい部品に肉盛りすることで、摩耗が抑えられ長寿命化が可能です!

開先から仕上がりまで.jpg

ステライトは複数の番手があり、炭素やタングステン等の含有量によって特性が変わります。

中でもステライト1番が、高硬度ランクの耐摩耗性が高い素材ですが、
その分、肉盛り中またその直後で、割れやすくなってしまいます。

使用環境や、必要な施工形状やサイズによって
各種ステライト(6、12、21番などが代表的番手)を使い分けることで部品の長寿命化が図れます。

ここで、HRC56程度なら大したことないのでは?
と思う方もおられるでしょう。

実はステライトのような耐熱を目的にした材料は、
「初期硬度」よりも「高温化強度(硬度)」を意図して素材設計されているのです。

例えば金型として使用開始時、ステライトよりも硬かったハイスも、
800℃など高温下にさらされる内に顕著に硬度が低下してしまいます(軟化と呼びます)。

今回のこのステライト材料は、鉄基ではなくほとんどコバルトでできている素材で、
初期硬度はそこそこでも800℃環境になったときには、
ハイスよりも高い硬度を維持します(軟化抵抗が高い)。

如何でしたか?

改めて耐熱性の素材の魅力、伝えられたでしょうか!

このステライトの他にも種類はありますので、ご興味あればまずはご相談ください。

当社ではお客様指定の肉盛りも可能ですが
用途をお聞きして肉盛り材料のご提案から仕上げ加工まで対応可能です。

お気軽に下記よりお問い合わせ頂ければと思います。
お問い合わせお待ちしております。

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